◆心臓カテーテル検査とは
 心不全、心臓弁膜症、先天性心疾患などで、心臓の中の血圧や血液の流れの具合を調べたり、狭心症や心筋梗塞で血管に狭い所やつまった所がないかを調べたりするための検査です。後者のことを冠動脈造影と呼びます。

◆冠動脈造影とは
 冠(状)動脈とは心臓の筋肉に酸素やエネルギーを供給している大切な血管です。心臓から血液が送り出される大動脈の最初の枝で、左右一本ずつ(左冠動脈と右冠動脈)あります。冠動脈造影は造影用カテーテルというスパゲティくらいの太さのチューブの先端を冠動脈の入口に挿入し、造影剤を注入して冠動脈の流れをレントゲン撮影する検査です。主に狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患に対し、冠動脈の動脈硬化(アテローム硬化)による狭窄、閉塞、あるいは冠動脈のれん縮(痙攣)の有無やその位置を確かめて、治療方法を決めます。



◆心臓カテーテル検査のリスク

 局所麻酔で脚の付け根の大腿動脈(肘や手首からの場合もあります。)からカテーテルを挿入するため、カテーテルが通過する動脈がもともと閉塞していたり傷がついていたりする場合は検査が不可能なこともまれにあります。また造影剤を使用するため、腎臓の機能が低下している時は特別な配慮が必要です。冠動脈造影検査によって血管が傷付いてしまう等の重篤な合併症(心筋梗塞、脳卒中、コレステロール塞栓症なども含む)は熟練したスタッフが行えばほとんどありません。当施設のスタッフは大学病院などでトレーニングされた専門医です。検査件数も年間500件以上と十分に習練していますが、常に慎重な検査を心がけています。

◆入院期間など

 一泊の入院で検査を行うことも可能ではあります。しかし、当施設では安全性を最優先し、検査前後の患者さんの状態を正確に把握し、合併症の危険を最小限にした心臓カテーテル検査を行うために3〜4日の入院期間をおすすめしています。医療費は健康保険の適応で、3割負担の方で10万円ほどが基本ですが、病状などに応じてそれ以上になる場合もあります。