パリを歩く(実行編 その2)
地下鉄の中はそれほど混んではおらず、通路を挟んで客席がボックスになっています。このまま乗って5つ目か6つ目のREAUMUR SEBASTOPOLで乗り換えです。駅につく度にSEBASTOPOL?と窓から覗きます。やがて品の良い小柄な女性の車掌さんがやって来ます。検札のようです。切符を見せますと、何か言うのですが、さっぱり分かりません。何となく「下りて下さい」と言ってるみたいな気がします。一寸不安になります。
すると乗り合わせていた東洋人の男性が近づいて来ました。「彼女はこの車両は1等だから次の駅で下りて2等に乗り換えろと言ってるんですよ。私も間違えて乗っちゃったんです」と教えて下さいました。彼は偶然にも、日本人だったのです。我々が理解したと知ると車掌さん、にっこり笑って行ってしまいました。言葉が分からないってやっぱり困りものですね。
次の駅で下りて間もなく来た電車の、今度は間違いなく2等に乗り換えます。ヤレヤレと一息ついていると、又、女の車掌さんが来ました。しかもさっきの彼女ではありませんか!狐につままれたみたいで思わずOさんと顔を見合わせてしまいました。何故また同じ彼女だったのか未だにクエスチョンです。
この車両には黒人も大勢乗っています。間もなくSEBASTOPOLの大きな文字が見えてきました。早速ドアの処で扉が開くのを待っていますと、黒人の青年が急いでドアを手で開けて呉れました。出る時は手動だったのです。
今度は Porte d'orleans 方面のオレンジ色の表示に従って行きます。少し歩きましたが、ちゃんとホームに出ました。今度は落ち着いて2等に乗り、5つ目、いよいよ目的地、ST.MICHEL に到着です。
一寸したトラブルはあったけど、とうとうやったぜ。あったりまえの事だけど、でも初めてパリの地下鉄に乗って目的地に着いた!Oさんとヤッタ!ヤッタ!と喜び合いました。それにしても図らずも我々はポールボネ氏によればパリっ子すら滅多に乗れぬ1等車に乗ってしまったのです。
ポール・ボネ氏は 不思議の国ニッポン VOL.1で、ヨーロッパでは1等車には1等車の雰囲気があり、2等車には2等車の雰囲気がある。これは主として客の人品から生まれるもので云々と書いておりますが
知らぬが仏でした。但し現在(2004年)はもう1等2等は廃止されたようです。
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パリの地下鉄
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