ルーブル美術館
我々のホテルはサン・ラザール駅近くのホテル・コンコルド・サンラザールです。どっしりとした立派な建物でした。部屋に荷物を置き、疲れもものかわ、(最高齢のIさんはパス)3人でルーブルへ行こうと大ハッスルです。
パリに着いて以来、我々のバスについて歩いていたトレンチコートの日本人が、「車でルーブルまでお送りします」というのです。私以外の二人はトレンチコートが怪しいというのですが、どうせ下心はあろうが、ギブ&テイクと腹を据え、車に乗せて貰うことにします。やはり、ルーブルの近くに「セラ」という自分の店があるので寄ってみて下さいという事でした。まぁ、良いではないですか・・・
昼間の雨が止んで日かげさえ出てきました。オープランタンの前のオスマン通りはクリスマスの飾り付けで華やいでおります。
トレンチコート氏がミロのヴィーナス、モナリザの場所を教えて呉れました。時間を置いて迎えに来てくれるそうです。11フラン払って教えられた通りに歩いて行くと階段を下りた突き当たりに勝利の女神、サモトラケのニーケが裳裾を風に靡かせて雄々しく立っているではありませんか!船縁に立つその姿は感動的でした!
そして・・・ミロのヴィーナスとのご対面です。
白い筈の大理石が年を経て、夕暮れの淡いひかりにいささかくすんで見えました。閑散とした美術館で(たった440円で)目の前にミロのヴィーナスをこんなに近く眺めているなんて・・・
モナリザの前には流石に人が大勢集まっておりましたのですぐ分かりました。残念なことに、モナリザはケースのなかに入れられて居りました。それにしても、モナリザってこんなに若かったかしら??私の中に今まで居たモナリザは中年の女性でした。目の前のモナリザの何という若さ!これは驚きです。
このモナリザについて野上弥生子は、「欧米の旅 下 フランス」の中で面白い事を書いておりました。
つまり、モナリザが若し声を出したらどうだろう・・というのです。彼女は微笑むだけの女性で決して声を出さなかったのではないか・・・もし彼女が厚いビフテキを食べてお喋りであったらなどと考えたくないと。
| ルーブル美術館にて
モナリザ
|