東欧土産話(10)



7月20日(木)

いよいよブダペストです。
ホテル・メルキュール・ブダ ホテルは南駅のすぐそばのメルキュール・ブダです。
このホテルは、プラハのホリデイ・インとほぼ同じで、まぁ、丸です。
部屋に入ったら、とても良い香りがしました。これで気に入ってしまいました。

今日の予定は、ブダペスト終日市内観光です。 英雄広場、漁夫の砦、ブダの王宮、
マーチャーシュ教会、くさり橋 国会議事堂、ナショナルギャラリー、聖イシュトバン教会など。
夜はドナウ川ナイトクルーズです。
これも定番のコースですね。





自由の女神の像

朝から良い天気です。「今日は寒くないでしょうね。」という、夏なのに不思議な会話から一日が 始まります。 川を挟む、ブダ地区のゲレルトの丘から出発です。真っ青な空に自由の女神が天を突くようにそびえ立っています。遠くからでも良く見えます。
夜はライトアップされ、ブダペストのシンボルの様にも見えます。

しかし、アニタさんによれば、「自由の女神」と言っても、ソ連によって ドイツから解放された記念として建てられたもので、解放されたけれど 解放とは言えなかったハンガリーの歴史の複雑さを感じさせる像だそうです。

ブダから見たドナウ川

展望台に移動しますと、そこからブダとペストを分けて流れるドナウ川 と街が一望できます。
セーヌ川にあるシテ島のようなマルギット島も見え ます。美しい橋が眺められます。

第2次大戦の時、これらの8つの橋全部が爆破され、すべてドナウ川に落とされた そうです。
ハンガリーという国の哀しみと苦しみがアニタさんの話から 伝わって参ります。


王宮の丘の中央に国立美術館があります。
王宮の近くで絵を売る少年 現在ハンガリー建国記念の美術展が開かれて居るとのことで、
宗教画などアニタさんの説明で見て歩きます。
何より印象に残ったのは、窓から眺めたドナウ川とブダ、ペストの景色でした。これこそ一幅の名画です。

マーチャーシュ教会 カラフルなモザイク模様の屋根が美しいマーチャーシュ教会の次は漁夫の砦です。中世に魚の市がたったこと、また、このあたりをドナウの漁業組合が守っていたことから名付けられたそうです。
漁夫の砦

「これから漁夫の砦にまいりますが、みなさま、砦を下りた所で、 ”どちらの入れ物に入っているでしょう”というような賭事をしている 人が居ます。初めは、お客さんが儲かるようにして、後からお金を とられてしまいますから、どうぞ、皆さんは近づかない様にお願い します。」とのアニタさんのご注意です。

「あっ!あれが漁夫の利?」と叫んだのは4人組の中で一番楽しい 方です。偶には教養が邪魔をすることがあるのですね。 砦の上からの眺めは正に”漁夫の利”です。いつまでも眺めていたい ような景色です。

☆漁夫の砦のマジックショー☆


砦を下りた所で集合です。 皆さんが集まるまで、日陰でウオッチングです。
アニタさんが言っていたインチキ手品をやっています。
なかなかの人だかりです。しばらく見ていると明らかにサクラと思われる人物が二人居ります。

折角だから見るだけ、と、ツアーのお仲間が覗きに行き、「ありゃー、 なかなか面白いよ」と戻って来られます。 とうとう、子供がお金を払っています。
あー、騙された・・・

目を逸らした次の瞬間、あっと言う間に手品の人だかりが雲散霧消して います。えっ、ウソでしょう? だって、 だーれも居ないのです。
右を見て左をみたら、と言ってもそれほど大袈裟ではありません。

何時の間に現れたのか、おまわりさんが二人歩いています。
とすると、あの人だかりの殆どがサクラだったことになりますね。
生まれて初めて見るようなお見事なマジックショーでした。




ぶら下がっている男 ブダペストの国立美術館を出たところで見た、ぶら下がっている男です。 みんなに遅れまいとして慌てて写しましたので、屋根に乗っているように 見えるかも知れませんが、しっかりぶら下がって居りました。昼も夜もご苦労な事ですね。

ブダ地区からドナウに架かる鎖橋を通ってペスト地区へ渡り、昼食は中華料理です。
中華料理屋さんかと思いましたら、やはりどっしりとした立派な 建物で、隣の別のツアーの方たちは、「洋食」です。
ボーイさんも西欧人です。でもちゃんとした中華料理で、パラパラのお米でも、感激して大喜びで召し上がって居られる方々。いじらしい・・ という私も満足して頂きました。

ここのレジには日本人の男女が居りまして、お土産など置いてあります。
トカイワインの試飲もありましたので、ちょっぴり頂きました。美・味・でした。一度ディナーについたトカイワインは 甘くてそれほど美味しいとは思いませんでした。

午後は、ペスト地区の観光です。
スラブ語で、ブダとは”水”ペストは”かまど”を意味するのだそうです。
ペストは平地で政経中心、ブダには自然があり、高級住宅などがあるそうです。我々のホテルはブダのほうにあります。

バスに乗ったり下りたりで、あるご主人が奥様に「おーい、ベストとって くれー」と仰有いましたら奥様が、「はい、あなた、ブダはよろしいのですか?」と言われて私は笑いが止まらなくなりました。(閑話休題)

ここに聖イシュトバーンの右手首が。 中華料理で満足した我々は、聖イシュトバーン大聖堂へ入ります。ここには、ハンガリーの初代国王、聖イシュトバーンの右手が、聖遺体として飾られております。ミイラみたいになって・・・
ここで、丁度パイプオルガンの調整をしておりまして、妙なるメロディーが鳴り響き、皆さんと時間ギリギリまで椅子に座って体中に鳴り響く音のシャワーを浴びることが出来ました。

英雄広場 次なる目的地は英雄広場です。 パリで言えばシャンゼリゼ? 
アンドラーシ通りを抜けて行きます。このあたりに来て、ブダペストは奥が深いなぁとつくづく感じます。

2.5キロのアンドラーシ通りの初めの部分にはオペラ座、国立バレー 学校のある通り、八角形の広場(オクタゴン)あたりには建築家イブル(と聞こえました。間違っていたらごめんなさい)の作ったネオルネッサンス形式の建物があり、近くにコダーイ記念博物館のあるコダイ円形広場あたりには別荘風の建物や、大使館などがあります。
地図で見ましたらこのあたりにリストの博物館もあるのですね。



街のあちこちに見かける大きな木には今白い花が溢れるように咲いています。アカシアでしょうか?
つきあたりの英雄広場でバスを下ります。建国千年を記念して造られたそうで、35メートルある中央のオベリスクのような柱の上に大天使ガブリエルが両手を上げており、両側のアーチ上の列柱にはハンガリーの英雄たちの像がならんでいます。

「みなさん、暑い方は日陰に、涼しい方は日当たりにいらしてお聞き下さい。」 確かに日向は紫外線が意外に強く、日陰に入ると、風が小寒い位です。暑がりの私でも日当たりをえらびました。

アニタさんは、14人のハンガリーの英雄を左から順番に説明します。
ここでも真っ先に聖イシュトバーンの名前が出て参りました。熱心に話すアニタさんの鼻やほっぺたが日に当たってだんだん赤くなって参りました。


中央市場 ここから、思いがけず中央市場へ連れていって貰える事になりました。主婦としては、大いに関心のある所です。

市場の建物がかっこいい煉瓦造りでまた立派です。1階が食料品、2階が衣類や民芸品などたくさん並んでいます。興奮してしまいます。
市場一階中央通り 地下には、魚肉類、ピクルスなど、種類も豊富で、品物は安い!ここに住みたくなってしまいます。




ピクルスの店 今朝、ホテルではバイキングスタイルの朝食でしたが、何が美味しかったと言って、あのピクルスのおいしさったらありません。瓜やキューリ、??などお皿に半分も取ってむさぼりました。
そのピクルスが大きな瓶に入ってずらーっとならんでいます。瓶ごと抱えて帰りたいほどでした。

パプリカの店 ハンガリー名産のパプリカを売るお店があちこちにあって、とてもカラフルです。皆さんリ ュックサックで買い物です。

ブダとペストの観光が終わり、一旦ホテルへ戻って一休み、外のレストランで夕食をしてから楽しみなドナウ川ナイトクルーズです。

バスでレストランに参ります。レストランの前に車が一台止まっています。そのでこぼこなオンボロぶりは見事です。
「日本だったら車検も通らないね」とみんなで感心してしまいました。もう一台やってきて止まりました。これも劣らぬオンボロぶりです。

レストランで最後の晩餐です。 ヴァイオリンとアコーディオンの二人連れがやってきてちょい弾き用にアレンジしたツィゴイネルワイゼンなど弾いてくれました。
これをテープにとって、家に帰って聞きましたら、ひどくお粗末な演奏でしたが、あの時は、初恋のようにうっとりして聞き惚れておりました。

いよいよドナウ川ナイトクルーズです。 暮れ染めたブダペストの国会議事堂前までバスでやってきました。たくさんの尖塔がシルエットになっております。一番高い塔は、96メートルで、政変前には、その上に4メートルの赤い星がついていたそうです。

これから乗船します

乗船場はすぐ近くでした。22名の貸し切りで、アニタさんがマイクで説明して下さいます。
しっかり見たい思いで、デッキに上がります。 「おお寒い」でもそんこと言っていられません。目の前にはブダペストの真珠 がきらめいているのですから。

鎖橋

完璧を期して造ったのに出来上がってみたら舌が無かったライオン がデンと座っていた鎖橋が電飾に浮き上がっています。圧巻です。 ゲレルトの丘の自由の女神もライトアップされて見えます。


ゲレルト温泉

Uターンしてマルギット島の手前まで、今度は反対側の説明を聞きな がら何と言っても美しく優雅な王宮を幾たびも振り返って目の底に焼 き付けました。 ため息をつきながらの1時間はあっというまに過ぎて仕舞いました。
マイクを通して説明するアニタさんの丁寧な日本語が快く耳に残りました。


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