東欧土産話(9)



7月19日(水)


今日は朝7時半出発です。

専用バスで、国境を越え、ハンガリーのドナウベント地方観光、エステルゴム、ビシェグラード、センテンドレを巡ってハンガリーの首都、ブダペストへ参ります。

また舌を噛みそうな地名の国へ突入です。国境を越える事に慣れて 居ない者は、何故か緊張致します。
オーストリア出国の際は、男性の係官がバスに入って参りまして、「ARIGATO,ARIGATO・・」とパスポートを覗いて行きました。腰にはピストルがぶら下がっておりました。

ハンガリー入国です。
バスで待機していると、 「はい。皆さん。ドライバーのボギーさんが係りの人にコーラ一本あげた らOKだそうです。出発しまーす」とTDさんの明るい声。車内は爆笑です。

窓の外はプラハからウイーンへ移動したときと似た風景が続きます。 麦畑に麦が黄金色です。風の形が見えるように押し倒されている所 もあります。緑の中に白い花が咲いているのはジャガイモ畑です。

農家が点々と見えます。
あっ!コウノトリ! 絵本に出てくるコウノトリです。煉瓦作りの煙突の上に立派な巣が 出来てコウノトリが3羽居りました。ホントにホントです。

今日のバスにはテレビが付いており、楽しいクラシックコンサートの ライヴビデオが写されています。観光バスで
クラシックコンサート!

このあたりでは、クラシック音楽は、正に庶民のものなんだと痛感しま した。ウイーンから215キロの移動です。

エステルゴムに到着です。
アニタさんここで現地ガイドのアニタさん登場です。 アニタさんは、国費留学生で、名古屋大学に2年間留学して日本のことを勉強したそうで、「わたしの日本語は名古屋弁かもしれませんが、ごめんなさい」と、とても上手な日本語です。

この日から、最後のハンガリー空港まで、ずっとこのアニタさんのお世話になりました。 アニタさんの日本語は現在、過去、未来、進行形、仮定法など正しい日本語を使おうと一生懸命で、間違えば”ごめんなさい”と訂正して何だか久しぶりにきれいな日本語を聴いたような爽やかな気持ちに なりました。

これからのブダペストの旅が楽しみです。
聖エステバン教会
聖エステバン教会は19世紀半ばに建てられたハンガリーで一番 大きな教会との事です。
建物も大きければそれを取り巻いている自然も大きいので、その巨大さがあまり実感出来ない位です。



笛を吹く女性けばけばしいものは何一つ無く、その建物の石組みのそばで、一人の女性が、古典的な衣装をまとって笛を吹いておりました。



ドナウベント 彼女の前を通り抜けて教会の裏手に回りますと高台から見下ろす目の前はドナウベントでした。
ドナウ川が、90度に曲がっているところです。むこう岸はスロヴァキアなのだそうです。 ドナウの支流に架かる橋やアパートなどもはっきり見えます。

宮本輝の「ドナウの旅人」ではないけれど「ああ、ここまで来てしまった」 という感慨にしばしふけります。
再びドナウ川に添い、ブダペスト方面へ向かって南に走ります。

♪ここでアニタさんの勉強タイムです。♪

マジャール人のマジャールとは、人間という意味だったのではないか という言語学者がいるそうですが、元々はアジア人で、言葉の構造も 文法もウラル語族であるため、英語、ドイツ語等を勉強するのに苦労する 事があるそうです。
ただ長い間の混血で、外見的には西欧の人と変わら ない様になってしまったということです。アニタさんには7つの民族の血が 混じっているそうです。



そうこうしているうちに、ビシェグラードに近づきました。
ビシェグラードとは、山の上の城という意味だそうです。そう言えば向こう の山の天辺にお城が見えてきました。
ここで、一寸バスから下りてお城の 写真撮影タイムです。緑の野原と家々の堺に例のRed beechが ずらーっと
植えられておりました。ひんやりとした風が吹いておりました。

「ここから、センテンドレという街に向かいまーす。」
TDさんの元気な声です。セルビア人が、17,8世紀に作った街だそうです。
いろんな人種が話しに出て参ります。それだけ、攻めたり攻められたり の歴史だったという事ですね。
帰ったら、このあたりの勉強をしなければ・・

センテンドレに到着です。ペストの記念塔の建つ小さな広場に集まって、アニタさんが町の説明をします。

センテンドレの広場
ここから、彼女ご推薦の女性陶芸家のコバチ・マルギットさんの美術館へ直行です。

えっ!コバチ・マルギット・・聞いたことがあると思いましたら、ML の渡辺節子さまに頂いた
メールに書かれてありましたあのマルギット さんでした!


渡辺節子様-wrote-
>サンタンドレという隣町のマルグリート・コバチという女性彫刻家?
>(粘土で女性の一生を表す像を作り続けた人)のミューゼアムは
>印象的です。女性が年取るに従い、哀しげで、絶望的で、淋しげな
>表情になってゆくのが、なんとも、作者の心情を表しているのかと、
>気になりました。


◎旅の情報、その他満載、渡辺節子様のページに飛びます。

http://www.shejapan.com/


とても行くことは出来ないと思って居りましたのに、兎飛び込む木の根っこ。
広場から細い道を一寸入り、右に曲がったところがこじんまりしたその 美術館でした。ラッキー!!

初期の作品は、バザーなどに出ているような、又、小物のお店に出て いるような
可愛らしいお人形風の作品でしたが、だんだん年を重ねて、 作風も少しずつ変化し、
作品も大きくなって迫力が出て参りました。

年老いたお母さんと暮らしたとの事で、そんな経験のある私は、年取って ゆくお母さんのすがたに
人間の哀しみを見たのかも知れない等と思いました。 キリスト教に裏打ちされた作品が多かったですね。

ここの見張り番はすべてシニアの肥ったおばさんたちでした。
若い女性はものすごく美しいのに、年輩になるとどうして皆さん(わたしも !) こうなってしまうのでしょう!
なぜか、一見無表情でこわそうでした。存在感 抜群なり。

センテンドレのドナウ川 ここで**時までに広場集合と言うことで解散です。
歩いてすぐの所にドナウ川が有るとのことで、先ずそこまで行くことにしました。
大きな木が生い茂りベンチもあり、ゆったりと流れるドナウ川を目の前 にして、疲れを癒します。
川の向こうは緑です。生い茂った大木が、川の 流れに枝先を浸している眺めは、自然そのもので
粗野ではありますが得難いものでした。

これからミーハー族お買い物タイムです。 私の手の平には、TDさん手作りの「かんたんマジャール語」からのケセネ(ありがとう)と、ヴィソントゥラターシュラ(さようなら)がボールペンで書いてあります。これを使ってみようと大張り切りです。

センテンドレのみやげ物店 広場のまわりは土産物店でいっぱいです。
TDさんご推薦のトイレ付土産物店に入ります。壁面いっぱいに民族人形、刺繍製品、ビーズのアクセサリーなどが飾ってあります。

それにしても、物価が安いのには驚きです。何でも日本の約半額です。
1フォリントが0.6円でした。但し給料も安いので、こちらの人にしてみれば決して
楽ではないようでした。

何といっても刺繍が美しく、シンプルなブルーと、赤いパプリカなどが刺繍されている
カラフルなテーブルセンターを選んでレジに持って行きました。

店を出る時に、手の平を確認してから「ヴィソントゥラターシュラ」と言い ましたら店員さんの表情がパッと変わって、「Ah!Viszontlatasra! Viszontlatasra!」(aの上にはアクセント記号がついています)と大喜び です。
急に親近感が湧きました。言葉のマジックを体験致しました。

チャーミングな可愛い町、センテンドレからブダペストまで、23キロ です。
田舎町を通って行きます。古い壁のはがれた家々、でも庭先 にはつつましくバラが咲いています。

所々に教会らしき粗末な建物があり、同じように塔の時計には針が ありません。

いつ頃建てられた家か、屋根の形に特徴のある家があります。
黒くなった檜皮葺きのような屋根に付けられた小さな窓、もしくは空気穴の形が、丁度眠そうな人の目に似ています。
走っている車の窓から写真に取ることが出来ず残念でした。

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