東欧土産話(8)



7月18日(火)

 本日の予定はウイーン市内終日観光です。 お決まりのシェーンブルン宮殿、ベルベデーレ宮殿、ミノリテン 教会など。
朝6時の気温は16度。道を行く人は、コートを羽織って居ります。
ウイーンは、これが2度目ですが、初めての海外旅行で来たウイーン の印象は、忘れられません。それは私の宝物のような記憶です。

指折り数えましたら、もう20年も経っておりました。ビックリです。 11月で、マロニエの葉も散ってウイーンは秋深いたたずまいでした。
シェーンブルン宮殿を出ましたらもう暗くなって、庭園を見ることは出来ませんでした。

シェーンブルン宮殿 今回のツアーのお仲間に40代から50代の実年女性4人組が居りま した。
彼女達が一番若かったし、一番タフで、元気溌剌、目一杯朝 から夜までフルに活躍されました。
ベルベデーレ宮殿の庭を見てからツアーを離れ、自由行動すると言って 颯爽と4人は姿を消しました。
中のお一人はドイツ語に堪能とか。また、 主人が、マドンナと憧れた女性は、鞄に厚い本を4冊も詰め、あとの3人 に、「重いから1冊おいていきなさいよ」などと言われる勉強家。
きっとこの 旅行のために沢山準備して行きたい所が山ほどあるのでしょう。好もしい4人組です。

リンデンの下で 今回は以前、シェーンブルンで暗くなって、見られなかった美しい庭園を 見ることが出来て満足です。ヤッターという気分です。
売店で、ズカファンの友人のために 「エリザベート」の絵はがきを買いました。

前回、ベルベデーレ宮殿もやはり暗くなって端折られた場所です。
ここでは、宮殿の中には入りませんでしたが、中では、クリムやエゴンシーレの展覧会をやっていたのです。折角ここまで来たのに指をくわえて見逃しです。悔し紛れに前庭の緑生い茂る リンデンの並木の下にせめてもの慰みにとポーズをとりました。





お昼は思いも掛けず、ウイーン市庁舎の地下にあるレストランとの事です。
20年前です。またかっての話しですが、11月半ばのウイーン市庁舎の前庭 には見上げるように大きなクリスマス・ツリーが美しく、クライスト・キンダーマルクトと言われる夜店には可愛い子供達が、お菓子を買っている様子がメルヘンの世界のようで、感動したものでした。

その市庁舎の中に入れるなんて感激です。
でも、いささか疑い深くなっている我々一行の何方かが、「社員食堂 みたいなもんじゃないかい」などと言っておられます。不安と期待に満ち満ちて、1882年に完成したというネオ・ゴシック様式の市庁舎に入場です。

重厚な建物に我々の足音が響き、やがて導かれたレストランに感嘆の声が上がります。
国会議事堂のレストランはどんなものか知りませんが、こんなに歴史を感じさせて重々しく、広々として心の休まる「社員食堂」なんて・・・

ウインナーシュニッツエル 前回の旅行で、おなかの調子が悪くて食べられず、ホゾをかんだ、ウインナーシュニッツエル登場です。
柔らかくて美味しくて、一口ごとに幸福感がしみわたります。デザートも初めてアイスクリームが出て、「あー、これが西側の味だ」としみじみ思いました。

ウインナーシュニッツエルですっかり満足した我々は、王宮、庭園、外郭のお掃除中のミノリテン教会などを 巡り、オペラ座近くでコーヒータイムとなりました。
此処は、何と20年前にも連れて来られた所でした。同じ場所でも随分雰囲気が違って感じられました。
今日は昼間、昔は、黄昏時。あの時、ウイーンの老紳士が、親切に微笑みを浮かべて席を譲って下さいました。ピアノの音も何とロマンティックに聞こえた事でしょう♪♪


「この前きたときはね、・・」
「この前っていつごろですか?」
「20年前」
「えーっ!20年前がこの前ですかー?私まだ幼稚園でしたよー」
若いTDさんとの会話です。


そう言えばこの20年間で確かにウイーンの車の数が増えておりました。
甘いザッハートルテは今回も途中でギブアップ。生クリームの入ったウインナーコーヒー(フランツィスカーナー) をじっくり味わいました。

オペラ座の前まで歩いて解散です。5時半に、バスの運転手さんが希望者を纏めて一人3ドルでホテルまで送って下さるとの事で、
好都合でした。約2時間半あります。こんな時間が出来ると分かって居たならば前もって計画をたてておけば良かったととても残念です。

雨模様のシュテファン大寺院 私の行きたい所は、シュテファン寺院の中、市立公園、ケルントナー シュトラーゼ、ゆっくりできれば美術史美術館、クリムトの分離派会館などですが、地図も無いので、仕方なく塔を目当てに先ずシュテファン寺院に行きました。此処もあとから聞いた話では、上まで登ることも出来たようで、ウイーンの街を一望することが出来た筈です。
また、帰ってから読んだ本には「永遠の救い主」という有名な古い絵が掲げられており、多くの市民たちが悩み事がある時にこの絵の前でお祈りをするそうです。その絵にも気がつかず、残念無念です。

酔っぱらいさんと このあたりで、ポツポツ雨が落ちてきました。
ケルントナーシュトラーゼをおのぼりさん宜しくぶらぶらあるきます。若い頃、東京は銀座を歩くのが楽しかったほどの楽しさです。通りの中程のベンチでワイン片手にほろ酔いの紳士と一緒にパチリ。まるで本物みたいでしょう?何方かに似ていませんか?

そこから市立公園まではさほどの距離ではありませんでした。雨もそれほどでもなく、公園内を一巡して憧れのシューベルトさん、ヨハン・シュトラウスさんの膝元で、写真を撮る事が出来ました。

コンツェルトハウス 時間は簡単に過ぎて行きます。そろそろUターンです。
20年前ベートーベンの7番を聴くことができたコンツェルトハウスの 前に出ました。感激の再会です。改装工事中でした。

オペラ座の通りに近いのに方向が分からなくなりました。中年の婦人にききましたら、歩いていた方角と反対を指さし、5分くらいですよと教えて下さいました。
みんな疲れ切って早めに集まりました。例の4人組は何処を歩いて居ることやら。当然姿は見えません。
今回も思いを残して長いようで短かかったウイーンにお別れとなります。

もう一度ゆっくりウイーンに来たい。また来たい・・・

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