3日目 6月19日 つづき
  
 お風呂に入って昼の部の疲れを取り、すっきりして再び皆さんと一緒に地下鉄に乗り、
楽友協会にやって参りました。テレビで毎年ニューイヤーコンサートが行われるあの楽友協会です!まわりを見回しますと、道を隔てた向こうに世紀末の建築家、オットー・ワグナーの作った小さなカールスプラッツ駅の金の装飾の屋根が見え、目を90度左に向けますと木々の向こうに素敵なカールス教会の丸い屋根と二つの塔が望めます。
     カールスプラッツ駅             カールス教会

 7時半開演には少し時間がありますのでロビーで、開演前のさざめきに身をゆだねます。やがて、ホールに入ります。申し込みの時にカテゴリーを少しランクアップして依頼したためか、前の方の席が取れておりました。双眼鏡は不用です。
↑今夜のチケット

     楽友協会ホール             熱気溢れるホール

 いよいよ楽団員が入って参りました。おや、ステージが階段状になっております。大きな体のウイーンフルの団員と楽器でステージがギューズメになりました。観客席も一杯です。そして指揮者のリッカルド・ムーティー登場です。

リッカルド・ムーティーは今年のニューイヤーコンサートの指揮をした方ですが、この目で見るのは初めてです。イタリア人だそうで、成る程、そう言えばイタリア人の風貌です。

曲目は
ヴェルディー:「運命の力」序曲、
「シチリアの夕べの祈り」バレエ曲
ブゾーニ:「トゥーランドット組曲」、
レスピーギ「ローマの祭」他 です。

指揮棒が振られ、音楽が始まりますと、楽団員、指揮者、観客がいつの間にか一体となってしまいました。ステージと観客席がとても近く感じられるのです。この一体感は? 楽友協会の構造のせい?醸し出される音の魔力のせい? 情熱的なムーティーの全身これ音楽とばかりの踊るような体当たりの指揮のせい?それとも、今日はウイーンフィルが最高に乗っている?
ムーティーの指揮がアトラクティヴというか、派手というか兎に角物凄くて、前日の小澤征爾がこれでは一寸影が薄れそうでこわい。ムーティーはイタリア人らしくない指揮者と批評した文章を読んだ事がありますが、彼は正に情熱的なイタリア人だ!と感じたのは私の読みが浅いのでしょうか? 何でもいいや、兎に角感動致しました。この音楽旅で聴いたコンサートの中で、最高の夢うつつコンサートでありました。ウイーンフィルばんざ〜い。

 すっかり暗くなった戸外に出ますと、ライトアップされたカールス教会の丸屋根が夢のように夜空に浮かんでおりました。ウイーン、夢の町にも明日はとうとうお別れです。皆さんと一緒に地下鉄に乗って感動を語り合いながらホテルへ帰って参りました。

ウイーン余話
 バジルさんと私は今回ウイーンで自由行動を致しましたが、ツアーのお仲間の中で、予め本で調べて、やはりウイーンの森を自由に歩いた方のお話を聞きました。地下鉄とバスを乗り継いでベートーベンが田園を作曲しながら歩いた小道を歩いて来たとのこと。とても印象に残って楽しかったそうです。ここでも、資料館の事務員さんとのラッキーな出会いがあったようでした。

ホテルのすぐ近くにはスーパーマーケットがありました。美味しそうなチーズやソーセージ、サンドイッチなどが生活必需品と共に豊富に並べられて居りました。私が何を買ったかと申しますと、留守番のワンコに日本ではお目に掛かれない何かの胃袋の干物みたいな
ものを。これが大受けに受けて忽ち今度はワンコの胃袋に収まりました。
このスーパーでは、レジ袋を呉れません。そう言えばハンガリーのスーパーにもレジ袋が無かった事に感動したものを、贅沢な日本の生活に慣れてしまうと、すぐ忘れて仕舞います。

また、ホテルの近くで壁にシューベルトの肖像が描かれているというシューベルトゆかりのマルガレーテ寺院があったそうですが、行きそびれて残念でした。今回も更に沢山の宿題を抱え込んでウイーンを去る時がやって参りました。

明日はバスでグラーツへと移動致します。
グラーツでは、シュティリアルテ音楽祭が催されており、「美は危険と共にある」と云ったというニコラス・アーノンクールの指揮する音楽会を鑑賞する事になっております。変人とも云われるアーノンクールって・・・一体どんな音楽を聴かされるのでしょう?それに、もう一つ、グラーツではコーラスの友人の息子さんとデートのお約束があるのでした。